タイトル

水不足に悩むベトナム・ホーチミン

こんにちは、シンガポール在住、Yoshiです。

東日本大震災から5年目を迎えました。

地震・津波および原発事故で
亡くなった方々のご冥福をお祈りします。

また、被害を受けている方々に、
一日も早く安らかな生活が戻るよう、
願うばかりです。

以下、震災・原発関連の記事を扱っていた
東南アジアの新聞報道(一部)をご紹介します。

The Star (マレーシア)
:原発再稼働への懸念、経済優先政策への批判 (3/11)

Bangkok Post (タイ)
:安倍首相「日本には原発必要」と主張。高浜原発停止を受けて (3/10)

Jakarta Globe(インドネシア)
:大津地裁の高浜原発の停止仮処分(3/9)

Strait Times(シンガポール):
5年間の変化を写真で比較(3/11、オンライン)
福島原発の廃炉、汚染水問題

全体として原発への関心が最も高く、
特に高浜原発の再稼働・停止は
タイムリーに取り上げられていました。

先日、ベトナム・ホーチミンの大学にて、
環境問題(土壌汚染、地盤沈下)の
ワークショップを開いたのですが、

Q&Aセッションで最も関心が高かったのは、
福島原発の汚染水問題でした。

汚染水が海に流れているが、管理規準は?
どんな汚染水対策をしているのか?

などです。

ワークショップの準備として、
福島原発の地下水対策の件も調べていたので、
凍土壁の現状を含めて説明をしましたが、

このQ&Aを通じて感じたことは、

「世界の人々が、原発事故の影響を懸念し、
現状を知りたがっている」

ということです。

国内・国外問わず、
政府がもっと分かり易い形で
原発の現状を発信して行かない限り、

不信・懸念を払しょくすることは
できない気がします。

さて、前置きが少し長くなりましたが、
今回は

「ベトナム・ホーチミンの水不足」

の話題です。

ホーチミンの年間降水量1800ミリ
東京は1500ミリ程度ですから、
十分な量の降雨が期待できますが、

大河川メコン川のほとりホーチミンでは、
その場所故の悩みがあります。

それは、「海水の塩水遡上」です。
満潮時、河口から海水が上流に逆流する現象です。

潮汐の影響を受ける感潮域では、
多かれ少なかれ発生する自然現象ですが、

そこは大河川メコン川、

その影響も大きなものがあります。
河口から100km以上上流の地域でも、
数mの潮位差があるといいます。

今回の塩水遡上現象では、
DongNai川で塩分濃度300mg/L
を超える高濃度が確認されました。

工場の許容値は250mg/Lなので、
停止を余儀なくされました。

Saigon-river-System.jpg

ところで、

1000万人都市ホーチミン市民の水源は、
4つあります。

①Saigon川
②Dong nai川
③地下水
④雨水

このうち、①②で大部分が賄われています。

地下水の過剰取水は、
水質の悪化および地盤沈下を引き起こし、
すでに問題が顕在化しています。

①②のための水処理工場は、
市内に10か所ありますが、

このうちDongNai川沿いにある水処理工場では、
塩水遡上の影響で、
満潮時1日約4~6h、
操業ストップを余儀なくされています。

幸い、上記工場の不足分は、
他の工場での増産で埋め合わせること
ができるようですので、
断水という最悪の事態は当面避けられそうです。

これまでも、高濃度の海水が遡上することがあったのですが、
上流にある貯水池・ダムの水を放流し、
希釈することで難を逃れていました。

ところが、今季はエルニーニョの影響
で少雨だったため、

貯水池・ダムの水が放流できず、
上述の事態になったというわけです。

気候変動の影響は、
ベトナムでは海水面上昇の形で顕在化し、
2050年までに平均30㎝ほど上昇する
と予想されています。

ますます、塩水遡上の規模・頻度が大きくなり、
水不足は更に深刻な問題となるかもしれません。

2014年夏に発生した今回のエルニーニョでは、
タイでも農作物に深刻な打撃を与えていて、
連日新聞に取り上げられて、
人々の関心が集まっています。

低緯度帯は年間気温が高いため、
降雨量が多くても蒸発量もその分多く、
水不足・干ばつになりやすい地域です。

気候変動の影響も踏まえて、
計画的・戦略的な貯水システム
の必要性を強く感じます。

なお、日本のODAはこの分野で
多くの貢献をしてきています。

以上、今回は「ベトナム・ホーチミンの水不足」でした。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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2021年10月

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