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ミャンマーの土砂災害に思うこと

こんにちは、シンガポール在住、Yoshiです。

ミャンマーの総選挙結果も明らかになり、
11/20にはスーチー氏と現与党側代表が協議を開催、
平和的な政権委譲が約束されました。

着々と民主化の方向に歩み出している様子が感じられます。

ところで、11/21未明、ミャンマー北部の翡翠(ひすい)採掘現場にて、
大規模な土砂崩れが発生し、100人以上が行方不明となっていると
報道されています(11/25現在)。

soil-failure.jpg

行方不明者の捜索活動は依然として継続されているものの、
発生から3日が過ぎ行方不明者の生存可能性は低いとの見通し
を地元新聞が伝えており、
犠牲者は100人を大きく超える模様です。

ミャンマーの翡翠採掘現場での土砂崩壊は
実は、今年4月にも別の場所で発生し
30人以上が亡くなっています。

いわば恒常的に発生している人災です。

地元の監督官庁は採掘業者や周辺住民に対して、
土砂崩壊の危険を再三にわたり勧告してきたとのこと。

にも関わらず、今回の悲劇につながってしまったことは
大変残念なことです。

国際NGO"GrobalWitness"のレポートによると、
2014年度ミャンマーにおける翡翠生産額は

300億ドル

に及びそのほとんどが中国に密輸されているとのこと。

ちなみに、政府発表の生産額は上記の10分の1、

30億ドル

に過ぎません。

大きな採掘業者の多くが軍幹部とつながり、
汚職の温床になっていることで知られています。
これまでの軍主導ミャンマー政治の、
まさに象徴的な腐敗構造と言えます。

その意味でも、スーチー氏率いるLDPが
今後どのような施策を打ち出していくのか

興味があるところです。

ところで、

採掘業者には2種類あり、

1) 大型重機を駆使して大規模な掘削・採掘を行う大きな会社と、
2) 大きな会社が廃棄した岩砕土砂の中から手作業で
   翡翠のかけらを探して生計を立てている個人採掘者

です。

今回の土砂災害で犠牲になった人々の多くは、
後者の個人採掘者とみられています。

大会社が掘削・採掘した岩砕・土砂を廃棄する
土捨て場は急勾配の高い山になっており、

その高さは90mにも及ぶことがあるといいます。

そんな山のふもとを、つるはしを片手に
かけら探しに勤しむ彼らを、崩れた土砂が
家ごと飲み込んだのです。

また、採掘場所には2種類あり、
1) 風化した岩盤の場合と、
2) その岩盤が浸食されたのち再堆積した土砂の場合

です。

下の写真に移っている石は丸みを帯びていますので、
後者の事例です。

再堆積した土砂は岩盤に比べて当然崩れやすいですが、
下の写真では垂直に近い急傾斜の斜面を形成しながら
採掘がおこなわれていることが分かります。

picking.jpg

土を山状に盛る場合に自然と形成される傾斜の最大角を
安息角」といい、通常は安全を考慮して45度を上限と考えます。

安息角を超えて盛り立てると不安定になります。

今回の事象ではそうしたリスク管理よりも
経済活動が優先されてしまったことの
悲劇ともいえます。

ちなみに、ミャンマーの翡翠は、硬玉(ジェダイト)と呼ばれ、
透明度が高く大変貴重な鉱物で、
みゃんまーは世界的な生産地として知られています。

一般に彫刻や玉などに使われる緑色の翡翠は
軟玉(ネフライト)と呼ばれるもので、
その価値は硬玉に比べて大きく下がります。

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左:硬玉(ミャンマー産)  右:軟玉

翡翠の生成には、温度・圧力条件(低温高圧)が重要で、
インドプレートとユーラシアプレートが互いにひしめき合う
ミャンマー北部地方は、その生成条件を満たす、
地質学的な見地から見るとごく限られた特異な場所です。

plate.jpg

そんな美しく貴重な翡翠という資源が
安全かつ平和的に利用され、

軍下部など個人の私腹ではなく
ミャンマー国民のために
使われるようになることを願ってやみません。

以上、今回もミャンマーの話題でした。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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2019年4月

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