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「水」先進国シンガポールの背景

こんにちは、シンガポール在住、Yoshiです。

久しぶりのブログ更新、
みなさまいかがお過ごしですか?

私は、昨夜行われたサッカーW杯2次予選、
日本vsシンガポールをみて
フラストレーションMAXです.....

次戦はいっそシンガポールの応援
に回ろうか、と悩んでいます。

さて今回は、先日地元の新聞"Straittimes(6/16付)"
シンガポールの水事情に関する記事
が載っていましたので、その紹介です。

シンガポール建国の父といわれる、
故Lee Kuan Yew元首相(写真)は、
シンガポール初代首相で繁栄の基礎
を築いた偉大なリーダーでしたが、

今年3月25日、91歳の生涯を閉じました。

Lee.png

1965年の独立当時から、Lee元首相を悩ませたのが
シンガポールの「水問題」といわれています。

シンガポールの年間降水量は平均2000ミリを超えますが、
東京23区ほどの広さの島国で集水面積が狭く、
貯水池は2か所あるのみ(当時)で、

とても国民が必要な水量を自前で確保することが
できませんでした。

そのため、隣国マレーシアから水を融通
してもらっていました。

ところで下のグラフはシンガポールの年間降水量の推移です。
1950年以降の年間降雨量のグラフを見ると、

1950年から1965年にかけて
降水量が減少している傾向が見られます。

Rain.png

当時のシンガポール市民は、年々減少する雨量を
実感していたことでしょう。

このような自然条件の変化は、Lee元首相が水問題を重要視する「きっかけ」
だったのかもしれませんが、

実はLee元首相を水問題に注目させるもっと直接的な
2つの出来事があったといわれています。

一つは、1942年戦時下、日本軍のマレー半島南下を遅らせるため、
"Causeway"と呼ばれるマレーシア南部とシンガポールを
つなぐ道をイギリス軍が爆破したことです。

当時、シンガポールはマレーシア南部ジョホールから
Causewayを通ってパイプラインで水の供給を
受けていたのですが、

この爆破によってジョホールからの水の供給が絶たれました。
シンガポールは当時2つあった貯水池に
依存せざるを得なくなったとのことです。

しかも貯水池に残っている量は
全住民の「2週間分足らず」であったとのこと。
この事実がLee首相の心に深い印象を与えたそうです。

Cause.png

もう一つの出来事は、1965年マレーシアからの独立にあたり、
Lee首相に対して英国高級官僚が述べた忠告です。

その英国完了はこのように忠告したといいます。

「もしシンガポールの政策がマレーシアにとって
不利益をもたらすことがあれば、
マレーシアはいつでもジョホール
からの水供給を止めて
シンガポールを脅すことだろう」

この二つの出来事をきっかけにして、
リー首相は戦略的に水問題を
考えることの重要さを実感したといわれます。

その後、熱心にシンガポールの降雨量や
そこから生産可能な飲料水量を試算、
すべての政策を水問題の視点を通して
見直したと言われます。

現在のシンガポールでは、貯水池の配備、
浄水場の建設、厳格な水利用関連法・規制の施行により、
建国当時に比べて水不足の脅威はかなり減りました。

ちなみに、浄水場には日本の膜技術が使われていますし、
貯水池や導水トンネルの建設には日本企業も参加しています。

シンガポールにとって、
水に関するこれからの課題は、
水の消費量削減とその適正価格の設定です。

一人当たりの水消費量は現在150L/day
これはほぼ東京と同じです。

これを2030までに140L/dayに削減することを
目標にしています。

欧州各国の主要都市(ベルリン、バルセロナ、ミュンヘンなど)
の水消費量は140L/dayを下回わっています。

とくにハンブルグでは105l/day(2008年時点)で、
シンガポール政府はこれらを念頭に置いているようです。

Volume.png

なぜ、欧州都市では水消費量が少ないのか?
その背景には、水道料金が関係していると考えられています。

欧州では水使用量の料金上昇率は、インフレ率を上回っており、
年々水道料金が上昇、人々は自ずと「節水」を
心がけるようになったのでは、
という見方があります。

一方、シンガポールでは水道料金はながらく横ばいのまま値上げされず、
逆に2000年に比べると25%安くなっています
(電気、ガスは2000年時点に比べて3~3.6%値上げ)。

これまでにシンガポールが行ってきた施策が功を奏して、
現在の価格で水が供給できるわけですが、
もともと水資源の乏しいことを考えると、
これからは「節水」がキーワードになっていきそうです。

かつては「貯水」「浄水」でシンガポールに貢献した日本企業、
今度は「節水技術」で新たな貢献ができるチャンス到来といえそうです。

以上、最後まで読んでいただきありがとうございます。

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2019年4月

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