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地下水規制と既得権

こんにちは!

"メタボ委員長"こと
アサノ大成基礎エンジニアリング
本多純秀(ホンダヨシヒデ)です!

先日の雪はすごかったですね!
東京では45年ぶりの積雪だったそうです。

我が家には屋上があるのですが、
そこで娘と一緒に雪遊びをしました
寒すぎて15分ほどしか遊べませんでしたが・・・

雪が降る数日前は15℃くらいまで気温が上がり、
とても暖かかった覚えがあります。

季節の変わり目で、寒暖差も大きいので、
皆さん体調には十分気を付けてくださいね。

というわけで今回は前回少しだけ触れましたが、
地下水の規制について書いてみたいと思います。
そもそも、地下水の採取はなぜ規制
されているのでしょうか?

一番大きな理由は「地盤沈下の防止」です。
日本で初めて地盤沈下が注目されたのは
大正末期、現在の東京都江東区付近
地盤沈下が確認されたことだそうです。

当初、この地盤沈下は関東大震災によるものだと
思われていたそうですが、昭和初期、当時大きな地震が
起こっていない大阪でも地盤沈下が確認されたことによって、
過剰な地下水の汲み上げが原因だとわかってきたようです。

その後、戦後復興~高度経済成期に近代化・工業化が進み、
地盤沈下の問題が顕著化したため、昭和31年に
工業用水法」が制定されました。

この法律により指定地域(現在は17地域)は
井戸を工業に使用する場合、都道府県知事の許可
受けなければならなくなりました。

工業用水以外の地下水利用については
「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」
いわゆる「ビル用水法」が昭和37年に制定され、
指定地域(4都府県4地域)において、
一定規模以上の建築物用井戸について許可制となりました。

これらの法律の指定地域以外においても、多くの自治体で
地盤沈下防止を目的とした条例が定められ、
地下水の規制が行われました。

平成23年3月現在で26都道府県、264市区町村
で地下水の利用に関する条例が定められています。
c749411c2294a25ba6cf117a3115629d.png図1-地下水採取に関する規制等の状況 H23年12月 環境省 水・大気環境局
「平成22年度 全国の地盤沈下地域の概況」より抜粋

ただし、自治体によってその規制内容は様々です。
一例として、東京都の場合を見てみましょう。
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東京都環境局HPより転載

東京都は地下水規制が非常に厳しい地域です。

ほぼ全域において揚水量、ポンプの出力および
吐出口の断面積とそれに伴うストレーナー
(取水層に設置する穴の開いた管)の位置が
厳密に決められています。

日量では平均10tまでしか揚水できません。

一方で規制のない地域、規制の緩い地域もあります。
以下は関東地方の揚水規制について、
規制の度合いについてまとめたものです。
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筆者作成

このように、自治体によってかなり規制の内容が
変わりますので、新規の井戸を掘削する場合や
移転候補地で地下水を利用しようとする場合、
当該地の規制について調べなければなりません。

ただし、規制がある地域でも、規制されている以上の
地下水を揚水できる可能性があるんです!

それはズバリ「既得権」です。
つまり、条例の制定前に掘削した井戸であれば、
それ以前の条例に則した揚水量が
認められるというものです。

「工業用水法」「ビル用水法」では既得権は
認められていませんが、各自治体の条例では既得権
認められていることが多いようです。

規制が非常に厳しい東京都でさえ、
既得権を認めています。

以前、静岡県のある工場よ老朽化した既存井戸を潰し、
代替井戸を掘削したいとご相談がありました。

お話を聞いてみると、既存井戸は静岡県条例が
制定される前の井戸で、既得権により
取水制限がないことが分かりました。

仮に代替井戸を掘削しても条例により
現在の揚水量の10分の1程度しか
揚水することができず、足りない分は
工業用水で補完する以外方法はないのですが、
その料金が年間で1億円近くかかることも分かりました。

この既得権を喪失してしまうのは非常にもったいない!
ということで、代替井戸の掘削ではなく、井戸再生工事を
ご提案させていただきました。

再生工事であれば、あくまでも「メンテナンス
なので、既得権を喪失することはありません。
費用も既存井戸の状態によって数百万~数千万円の
費用がかかりますが、年間1億円近くの費用が
発生してしまうことを考えればどちらが良いかは一目瞭然です。

さらにこの工場では他にも、現在は使用していないが、
条例制定前に掘削された井戸がありました。
こちらも毎年行政へ「今年の揚水量ゼロ」と届出していたため、
再生工事を行って仮に揚水能力が回復したならば、
揚水量の制限を受けずに使用することができることが分かりました。

このように、老朽化し、揚水能力が落ちたからといって、
安易に既存井戸を潰してしまうと、
大変な損につながってしまう可能性があります。

井戸再生工事」を一つの選択肢にしてみては
いかがでしょうか?

また、現在使用していない井戸が、
実は大きなコスト削減につながる
可能性もあります。

眠っている井戸をお持ちの方は、
一度当社へご相談ください!
というわけで「地下水規制と既得権」というテーマで
書いてみましたがいかがだったでしょうか?

それでは、次回もお楽しみに!
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