タイトル

小水力発電と法律

こんにちは!

"メタボ委員長"ことアサノ大成基礎エンジニアリング
本多純秀(ホンダヨシヒデ)です!

私の好きな漫画の一つに「サバイバル」(さいとう・たかを著)
というタイトルがあります。

友人とともに洞窟探検をしていたところ
世界的な大地震に遭遇し、唯一生き残った
サトル少年が、崩壊した世界で力強く
生き抜く姿を描いた作品です。

その中で、こんなエピソードがあります。
サトルは家族の消息を掴むため、
無人の廃墟と化した東京を後にし、
単身で富士山を目指します。

道中、人に会うことはなく、人恋しく感じていたところ、
遠くに電気の明かりを発見します。

「人がいる!」と思ったサトルは、
急いでその場に向かったところ、
その明かりは学校の一室に灯されていました。

しかし、そこには人がいるどころか、
人間が生活している様子すら
ありませんでした。

不思議に思い、辺りを見回してみると、
水路に実験用の自家発電機が設置されており、
それが勝手に発電を行っていただけで、
誰かが意図的に利用しているものではなかったため、
サトルはひどく落胆してしまうというものです。

「サバイバル」のように、崩壊した世界であれば、
法律など無いに等しいですが、私たちは様々な
法律によってルールが決められています。

ということで、今回は、小水力発電
(サバイバルに描かれた発電機は規模でいうと
マイクロ発電だと思います)と法律について、
書いてみます。

小水力発電を計画する場合、どのような法規制に
準拠した手続きが必要でしょうか?

もちろん、地点の状況や計画の内容によって、様々ですが、
「河川法」および「電気事業法」については
ほとんどのケースで手続きが必要となります。

■河川法
そもそも、河川の水は誰のものでしょう?
河川法では、第2条で、河川の水は公共
のものと規定されています。

また第23条では、河川の流水を占用しようとする者は、
河川管理者の許可を受けなければならないと
規定されています。

「水の流れを利用するだけで、水量を減らすことも、
水を汚すこともないのに、許可が必要なの?」
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という声が聞こえてきそうですが、

この法律があるため、河川水を利用するためには、
河川管理者の許可が必要となっています。
この許可を「水利使用の許可」といいます。

また、多くの河川の土地には「河川区域」と
「河川保全区域」が設定されており、
この区域内で設備を設置したり、掘削等を
行う場合にも河川管理者の許可が必要です。
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※H23.3 小水力発電を行うための水利使用の
許可申請ハンドブックより

これらの許可は、それぞれ、次のように言います。
「土地占有の許可」 : 河川区域内の土地利用に関する許可

「工事の許可」 : 河川区域内に設備を設置するための許可

「河川保全区域内での工事の許可」 :
河川保全区域内に設備を設置するための許可

小水力発電の場合、取水設備や発電所などを設置する場合、
これらの許可が必要になるケースが多いと思います。

「許可が必要とばっかり言ってたら、
小水力発電が広まらないんじゃない?」

そんな声もあって、許可手続の簡素化等がなされていますが、
まだ十分な状況ではないようです。

河川法施行令の一部を改正する政令について
平成25年4月1日(月)施行


河川法の許可は、河川を利用するために
必要な手続きですが、発電を行う場合は、
電気事業法による手続きが必要です。

■電気事業法
電気事業法とは、電気工作物の工事や
運用等を規制することにより公共の安全や環境の
保全を確保することを目的に定められた法律です。

発電を行おうとする者は、工事計画や保安規程の届出、
主任技術者の選任手続きを行う必要があります
ただし、発電量や流量によって届出が
不要となる場合もあります。

平成24 年3 月現在の段階では、ダム・堰を有さず、
20KW 未満で、最大使用水量が1㎥/s 未満の
場合は届出・手続きは不要となっています。

また、河川法や電気事業法の他にも、
様々な法的規制を受ける場合があります。
小水力発電で関連するかもしれない法規制を
整理してみました。

■自然公園法
国立公園または国定公園に指定された地域で計画する
場合は、工作物設置や伐採等について許可が必要。

■鳥獣保護及び狩猟に関する法律
鳥獣保護区内で計画する場合には、許可を要する
場合がある(鳥獣の捕獲行為でなくても)。

■文化財保護法
史跡、名勝、天然記念物の現状を変更する必要がある
場合は許可が必要。

■農地法
農地を利用する計画の場合は、転用許可が必要。
また、都道府県指定の農用地域に指定されている
場合には、その除外許可が必要。

■森林法
地域森林計画区や保安林に指定された地域で計画
する場合は、開発許可や保安林の解除が必要。

■国有林野法
国有林で計画する場合は、伐採許可及び
売払や貸付申請が必要。

■砂防法
河川に砂防ダムが設置されている場合、砂防指定地
に指定されている可能性があります。
その場合、砂防指定地内の作業許可が必要。

■地すべり防止法
一般的に、地すべり防止区域内で計画することは
避けたほうが良いと思いますが、計画する場合は
許可が必要。

■建築基準法
発電所建屋の設置には建築確認申請が必要。

その他にも、自治体条例等により規制されている
場合がありますので、計画する場合は、
確認が必要です。

多くの法的規制があり、中にはクリアすることが
非常に困難なものもありますが、色々な
解決手法の検討や粘り強い交渉で
解決につながることもあります

例えば、京都嵐山保勝会の小水力発電所は、
日本を代表する京都嵐山の景勝地の
ほぼ中心に建設されたものです。

法的規制が非常に厳しいため、ほぼ不可能と
思われていましたが、それを乗り越え、完成しています。

京都嵐山保勝会の小水力発電


これが実現できたのは、多くの支援者の協力と、
あきらめず、粘り強い交渉重ねた結果なのでしょうね。

というわけで、小水力発電と法律、いかがでしたか?
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それでは、次回もお楽しみに!
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