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地中熱ヒートポンプと法律

こんにちは!

"メタボ委員長"ことアサノ大成基礎エンジニアリング
本多純秀(ホンダヨシヒデ)です!

2020年の東京オリンピックの開催が決まりましたね!
私は発表の時間まで起きていて、生放送で見ていたのですが、
決まった瞬間は鳥肌が立ちました!

これを起爆剤に日本の景気が良くなることを
祈るばかりです。

おそらく7年後にはたくさんの外国人が
東京に訪れることが予想されます。

その時、「技術大国ニッポン」を再アピール
することが、その後の日本の景気を良くする
手段の一つであると私は考えています。

そして、現代社会では、技術をアピールする際、
必ずと言っていいほど環境性能がセットに
なっています。

7年後までにどれだけ省エネ技術を向上させ
それを普及できているかがカギになってくるのでは
ないでしょうか。

以前当ブログにも書きましたが、7年後に海外の人たちの
多くが訪れるであろう東京スカイツリーには
地中熱ヒートポンプが導入されており、かなりの
省エネ効果を発揮しているようです。

7年後にはさらに地中熱ヒートポンプが普及
していることが予想されますが、設置に当たっては、
どのようなどのような法規制に準拠した
手続きが必要でしょうか?

ということで、今回は、
地中熱利用ヒートポンプ法律
について、書いてみます。

以前、「地中熱による省エネ対策」の記事でも書きましたが、
地中熱利用のヒートポンプには、地中と熱をやり取りする
クローズドループ方式」と揚水した地下水と熱のやり取りを行う
オープンループ方式」の2種類があります。

クローズドループ方式は、地下水をくみ上げず、熱のみを
利用する方式ですので、現在、法規制はほとんどありません。

ほぼ唯一の例外は、神奈川県秦野市です。

「地中熱利用をお考えの皆様へ」神奈川県秦野市HPより

クローズドループ方法による影響については、まだ
調査・研究段階ですが、現在のところ悪影響を及ぼす
調査・研究結果は発表されていません。

秦野市も、悪影響があるから規制するというより、過去に
全国名水百選の湧水が有機塩素系化学物質によって
汚染された歴史などにより制定した「秦野市地下水保全条例」で

「井戸(地下水を利用する目的で設置する構造物)」の
新規設置を原則禁止しているため、
クローズドループ方法もダメです、
ということのようです。

一方、オープンループ方式は地下水をくみ上げ、
熱を回収した後、地下水を放流または地中に
還元しますので、地下水の採取および排水において、
法規制にかかる場合があります

「そもそも、地下水は誰のもの」なのでしょう?

前回の「小水力発電と法律」では、河川の水は河川法
公共のものと規定されていることを紹介しました。
では、地下水も公共のもの?

実は、これ、今の日本では、議論の最中なんです

法的には土地の所有権について、民法207条で、
法令の制限内に於いて其の土地の上下に及ぶ
と規定されていることから、地下水は私有財産とされています

一方、「土地所有者は、地下水を採取・利用する権限はあるが、
地下水は流動する共同資源であるため、その権限も
合理的制約を受ける」という判例も出ています。

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松山地方裁判所宇和島支部昭和41年6 月22 日判決

「一般に土地所有者またはその所有地内に堀さくした井戸から地下水を採取しこれを
利用する権限があるが、地下水は一定の土地に固定的に専属するものではなく
地下水源を通じて流動するものであり、その量も無限ではないから、このような特質上、

水脈を同じくする地下水をそれぞれ自己の所有地より採取し利用する者は、
いわばそれらの者の共同資源たる地下水をそれぞれ独立に利用している
関係にあるといえ、したがって、土地所有者に認められる地下水利用権限も
右の関係に由来する合理的制約を受けるものといわなければならない。

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そのような経緯もあり、地下水揚水に関する規制は、
地盤沈下抑制のための法律(工業用水法、ビル用水法)や
地方公共団体の条例等による規制があります。

■工業用水法

制定:昭和31年
目的:工業用水の合理的な供給を確保するとともに、
地下水の水源の保全を図り、地盤の沈下を防止

概要:地盤沈下の著しい地域等を指定し、指定地域内の一定規模以上の
工業用井戸について許可基準を定めて許可制とする

指定されている区域:宮城県、福島県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、
愛知県、三重県、大阪府、兵庫県の10都道府県17地域

■ビル用水法(建築物用地下水の採取の規制に関する法律)

制定:昭和37年
目的:建築物用地下水の採取による地盤沈下の防止

概要:地下水を揚水することにより地盤沈下が発生し、高潮・出水等による
被害の発生が予測される地域を指定し、区域内の一定規模以上の
建築物用井戸について許可基準を定めて許可制とする。

指定されている区域:大阪府、東京都、埼玉県、千葉県の4都道府県4地域

■地方公共団体の条例等による規制

多くの地方公共団体(平成23年3月現在、26都道府県・264市町村
地下水条例に関する条例等を定めている。

地方公共団体の条例等による規制は、地域により厳しさはまちまちですが、
東京都や埼玉県の南部等では、厳しい規制がありますので、井戸を掘削して、
地下水を汲み上げることは、極めて難しい状況です。

また、揚水した水を河川等の公共用水域に排水する場合は、
水質汚濁防止法に定める排水基準を満足している必要があります。

くみ上げた地下水自体が自然由来などの原因で砒素などの
有害物質を多く含んでいる場合がありますので、注意が必要です。

というわけで、地中熱利用ヒートポンプと法律、いかがでしたか?

それでは、次回もお楽しみに!
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