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工場のBCPって何をすれば良いの?

こんにちは!

"メタボ委員長"こと
アサノ大成基礎エンジニアリング
本多純秀(ホンダヨシヒデ)です!

皆さん、ゴールデンウィーク
どう過ごされましたか?

私はほぼ家とその近所で過ごしたのですが、
1日だけ木更津のアウトレットに家族で出かけました。

渋滞を予想して早めに帰路についたつもりだったのですが、
駐車場を出るまでに1時間、駐車場を出てから品川の自宅に
戻るまで4時間もかかってしまいました・・・

やっぱりこういう時は遠出するもんじゃないなぁ
と感じてしまいました。

さて本題ですが、まずは1枚の写真を
見ていただきたいと思います。
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これは当社で定期的に行っている
避難訓練の写真です。

この訓練では避難経路や集合場所の確認、
非常用電源の使い方の講習などを行っています。

当社ではBCP(事業継続計画)が策定されており、
その中で定期的な避難訓練を実施すること
になっています。

でも、このような避難訓練って以前から防災対策として、
様々な企業で行われてますよね?

従来の防災対策とBCPでは
何が違うの?ということで、

BCPの特徴を整理してみました

①「被災後に利用できるのは制限された資源」
であることを前提とする

②継続すべき重要業務の絞込みを行う

③業務継続の阻害要素(ボトルネック)を抽出し
重点的に対処する。

④重要業務の目標復旧時間を設定し、そのための
事前準備を行う。

⑤指揮命令系統の維持、情報の発信・共有、
災害の経営判断の重要性など、
危機管理や緊急対応の要素を含んでいる。

つまりBCPとは、単に「災害発生時にどう対応するか」
だけでなく、様々な障害(感染症の蔓延やサイバーテロ等を含む)に対し、
「事業をどう継続するか」、「事業をどう早期に復旧するか」
という視点から、継続すべき重要業務を抽出し、
事前対策、早期復旧を戦略的に準備しておく計画ということです。

BCPを策定・運用することで、
下図のような早期の事業復旧効果が期待できます。
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では、実際にBCPはこのような効果が
あるのでしょうか?

東日本大震災におけるメーカー各社の被害報告とBCPの有効性
(2012 水嶋、小松、板谷)という
論文によると、CPを策定していた企業では、
建物被害が少なく、早期に復旧できたことが報告されており、
BCPは効果があると認められています。

そして「工場」のBCPの場合、事業継続には、
以下の3点に影響が出ると考えられます。

(1)製造関連
工場といえば、もちろん生産体制に
支障が出ないことが求められます。

工場建屋や設備・機械の損傷の他に
エネルギーの確保や人的被害を

軽減することも生産体制の確保という観点
で重要になります。

(2)製品の供給・納品関連
製品の安定供給は発注先企業にとっても
死活問題です。
製品を供給できないことで取引先を失うなど、
復旧後の販路の縮小にもつながる恐れもあります。

(3)原材料の仕入れ関連
工場が早期復旧し、生産体制が確保されたとしても、
原材料がなければ製品を作ることはできません。
原材料の仕入れも重要なファクターと言えると思います。

これらに対し、どのような対策が取られているのか、
実際行われている事例を交えながら
紹介したいと思います。

(1)製造関連の対策

①生産拠点の分散
例)スズキ浜松工場起工、地震リスク分散図る 北区
(2014年1月16日 静岡新聞)

スズキは、浜松市北区の都田地区工場用地に
新設する「浜松工場」の工事安全祈願祭を現地で開いた。
南海トラフ巨大地震に備え、沿岸部にあるほかの拠点から
二輪車の開発・生産機能などを移管する。

(中略)東日本大震災を受け、地震や津波のリスクを
分散するため、国内拠点の再配置を計画し、
内陸部に位置する同用地約27ヘクタールを市から購入した。

②工場の防災能力強化
Ⅰ.耐震診断・耐震改修の実施
例)帝人株式会社での耐震診断の実施(同社CSR情報より)

大規模地震による被害を最小限に抑えるため、
2006年に改正された耐震改修促進法に基づいて
耐震診断を行い、不適格な建物19棟の対策を進めています。

このうち1棟は、2011年度に耐震補強を済ませ、
2012年度は残り18棟の対策計画を策定しました。
2014年度までに耐震対策を完了する予定です。

Ⅱ.湾岸部に立地する工場の液状化対策
例)日清製粉グループでの液状化対策の実施(同社CSR情報より)

岸壁の耐震補強とともに、岸壁周囲の土壌に
特殊な溶剤を注入することにより、
液状化現象を防ぐ対策を実施しました。

Ⅲ.ライフライン(エネルギー、水)の確保

例1)ダイキン工業株式会社淀川製作所での
非常用電源の使用(同社CSR情報より)
・自前の非常用電源で、危険薬品を封じ込め・無害化し
放出、安全に停止(止める・冷やす・封じ込める)

例2)星成商事株式会社(静岡県の紙製品加工業)での
緊急防災用井戸と大型発電機の設置(同社CSR情報より)

・2014年3月31日、 BCP(事業継続計画)及び
CSR(企業の社会的責任)の一環として、
島田工場(中河工場は2010年設置済)敷地内に
緊急防災時用の「井戸」を設置しました。

(中略)災害時の事業継続の際には会社はもちろんのこと、
地域防災の一助となることも期待できます。
また、同日、緊急時の電力確保を目的として、
島田工場敷地内に「大型発電機」を設置しました。

Ⅳ.その他

その他としては、設備の転倒防止措置等が考えられます。
また、工場に限らず一般的なことですが、食糧等
備蓄、ハザードマップの作成、避難訓練、
消防組織の結成、人員の安否確認体制の
構築等が考えられます。

(2)製品の供給・納品関連の対策

①在庫管理と輸送管理
例)田辺三菱製薬株式会社の安定供給への取り組み(同社CSR情報より)

田辺三菱製薬は、自然災害、テロやパンデミックといった
事態が発生した場合にも、「医薬品製造業としての社会的責任」と
「企業としての事業継続の責任」を果たすために、
リスク管理や事業継続管理に基づいた
「安全在庫」の概念を取り入れています。

中でも、緊急性が高く代替品のない品目については、
市場での欠品がただちに患者さんの生命に結びつくため、
これらの医薬品を重要医薬品と位置づけ、在庫量には
特別な配慮をしています。

(中略) 東日本大震災の影響により、東日本物流センターが

被災し、医薬品が出荷できなくなった際も、
西日本物流センターからの代替出荷を実施することにより、
全国の医薬品卸からのオーダーにも遅延なく、
供給を継続することができました。

(3)原材料の仕入れ関連の対策


①サプライヤーの分散・調達網の再構築
例)株式会社リンガーハットでのサプライヤーの分散(同社CSR情報より)

契約農家は、北は北海道から南は鹿児島まで
全国に散らばっており、万が一、一部の地域が
自然災害などに見舞われても、変わらぬ価格と品質の
キャベツを安定 供給できる体制が整っています。

このように、一言でBCPと言っても、様々な角度から
物事を見なければなりません。

また、ただ単に生産拠点を無作為に新設したり、
在庫を増やすだけでは非常に不経済です。

BCPを策定・見直しする際は
現実に沿った対策を立てる必要があります。

つまり、現在の自社の経営状態を分析しなければ
ならないのですが、このことは現在の問題点・改善点が
見えてくるというメリットもあるのではないでしょうか。

また、今回ご紹介した対策以外に
様々な対策が考えられると思います。

まだBCPを策定していない、BCPはあるが、
見直す必要があるのではと感じている
といったような場合、一度専門家に
ご相談されてはいかがでしょうか?

というわけで今回は工場でできるBCP
について書いてみましたがいかがだったでしょうか?

それでは、次回もお楽しみに!
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